広辞苑をシュールに読む

電子辞書を使うのが好きです。

電子辞書が好きといっても、文章をたくさん読むから辞書を使うというわけではなくて、
広辞苑のシュールな説明を読むのが好きです。

辞書というのは、簡潔な日本語の記述のお手本です。
無駄な表現を極限まで削ったうえで、誰が見ても間違いが無いように意味を説明するという、
日本語の達人の芸を見ることができるツールだと思います。

ただ、簡潔な表現を突き詰めた結果、簡潔すぎてシュールになったりします。

例えば、ドロドロとした人間関係が繰り広げられる「三角関係」を調べてみましょう。
 ≪三角関係≫
  三者間の関係、特に三人の男女間の複雑な恋愛関係。

以上。一文のみ。
愛と憎しみが入り混じった壮大な物語を、「複雑な」の一言で片づけてしまうその勇断。


これは意味の説明文ですが、ものによっては例文も書いてあります。

例えば、「価値」という言葉。
 ≪価値≫
  物事の役に立つ性質・程度。
  (例) その本は読む価値がない

なぜかネガティブな説明。例文も説明文並に簡潔なのですが、なぜか「読む価値がない」と、下げてくる。

このように、どいういうわけかネガティブな例文が多いのです。
数ある例文のうち、もしかしたら半数近くはネガティブな意味の例文かもしれません。


簡潔でシュールな説明文&ネガティブな説明にあふれているので、
ときどき電子辞書の広辞苑を調べて、そういう面白い単語を発見すると、嬉しくなったりします。

今後何回かに分けて、書いていこうと思います。